den

万引き家族のdenのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最後に安藤さくらさんが5年でもお釣りがくるくらい楽しかった、って言うときの顔、本心なのか強がりなのか、たぶん本心なんだろうけど見ているこっちが目を逸らしたくなる。出所してももう祥太に会うつもりじゃないんだろうな。祥太もきっともう家族に戻るつもりはなさそう。リリーフランキーは戻りたくても戻れない。
対照的に松岡茉優ちゃんはおばあちゃんとの繋がりも深かったし家を覗きに行ったあたりまだ家族に期待したいんだと思う。りんも同じく家族に戻りたいと思ってる。

生まれてきた家族が本物の家族とは一概に言えない、血の繋がりよりも大切なものがある、ということがこの映画が提起したかった問題のひとつだと思う。でも家族の永続性、親子の絆、なんてものこそが存在していない。同じ方向を向けなくなったら家族は散る。それを無理やり繋ぎ止めるものが血縁なだけ。だから万引き家族はやっぱりもう家族じゃない。でも血の繋がりのある家族をあなたの家族であるとも言えない。

でもあの家族が同じ方向を向いていた時間はお釣りがくるほどという形容が似合うほど愛に溢れているのが伝わってくる。だからこそ最後の安藤さくらさんの取り調べで目を逸らしたくなるんだと思う。茉優ちゃんこれからどうなるのかな。安藤さくらさんの最後に持っていかれがちだけど全員が名演技、圧倒的な力の人たちだからこそこの映画を最後まで成立させられたんだと思った。
den

den