けーはち

センセイ君主のけーはちのレビュー・感想・評価

センセイ君主(2018年製作の映画)
3.8
ティーンズ向けの恋愛メイン邦画、いわゆる「キラキラ映画」と呼ばれるジャンルものだが、恋愛に限らず、「好き」に邁進することのブザマさ、おかしさ、それにも増して輝く姿、それを通じた成長を嫌みなく存分に表現し、際立った良品ラブコメに仕上がっている。

会話は終始スピーディでフックの効いたボケ・ツッコミや、小ネタ、パロディで構成されている(少女漫画原作だが、劇中のネタには『ドラゴンボール』『進撃の巨人』といった少年向けコミックだとか、『ロッキー』『仁義なき戦い』『金八先生』など、明らかにティーンズ対象外のものもポロッと入っている)。また、劇中の合唱課題曲、JUDY AND MARYの「Over Drive」も「仮面ライダードライブ」であった竹内涼真をリスペクトした選曲だろうかと思うとクスッとさせられるが穿ちすぎだろうか……(いや、「センセイ君主」なんだからOverlordからの連想か?)。ともかく、幅広い層が楽しめるコメディとしてのポテンシャル充分。

主演は浜辺美波が普段の美少女ぶりを封印、恋に恋するあまり恋愛失敗しまくる妄想アホ女という役柄でコメディエンヌとして大奮闘。竹内涼真も今回は爽やか好青年ではなくクールな数学教師をやっていて新鮮。浜辺美波の親友ポジションの川栄李奈もいい味を出しているし、竹内涼真の幼馴染ポジションで完璧超人の美女・新川優愛も良く、少女漫画原作らしい画面の美しさ、ファンタジーっぷりを完璧に実写で保ち続ける。

音楽の使い方も非常に良く、Over Driveの合唱曲アレンジは泣かせるし、何よりも主題歌がTWICEという韓流アイドルグループによるジャクソン5の「I Want You Back」のカヴァーで、ベタな邦楽曲にありがちな露骨な宣伝臭はない上、アジア人の声帯による(ネイティヴ英語話者ではない)拙い英語詞の歌唱だがヘナチョコ日本人アイドルより断然うまいという安心感で映画テーマ曲としてドンピシャの采配。青春の余韻に浸って劇場を出られること間違いなし💮