小松屋たから

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋の小松屋たからのレビュー・感想・評価

3.5
この二人の共演の「ラブコメ」ということで、下ネタの強度やリアリティの無さは全然気にならなかったが、世評の髙さほど笑ったり、感動したり、という気持ちにはならなかったです。。

理由としては、シャーリーズ・セロン演じる国務長官・シャーロットとセス・ローゲン演じるライター・フレッドのそれぞれの優秀さがあんまり伝わってこなかったからかも。予想外な形、例えば、全然政治とは関係の無い二人の色の好みの差が、彼の巧みな文章のネタになり、それを補足、強化する彼女の信念と表現力が世界中を感動させる、というような、何か捻りの利いた具体的な形で、個々の能力の高さと二人が一緒にいることの意味、強さが表現されていたら、もっと面白く観られたと思う。

本作ではシャーロットの環境問題の主張の骨子も正確に語られないし、フレッドの原稿が秀逸である理由ももうひとつわからない。そのあたりは、コメディだからこそ逆にメリハリをきかせてしっかりと描いた方がまじめさとドタバタの落差が面白さを生んで作品のクオリティがあがったんじゃないだろうか。

特にシャーロットの行動はスタート時点からかなり自由なので、恋愛の成就、薬でハイになってからの感情の爆発も応援したくなるような爽快感からはちょっと遠い。そこに至るまで彼女が感情をもっと自己制御していたり、職業的に抑圧されていたりしていた方が共感できたと思う。

男女間のフェアネス、エコロジーへのリベラルな主張をコメディで描くという試みには共感するけれど、だからこそ、もう少しスマートに表現できたら。

ただ、「マッドマックス」から、「アトミック・ブロンド」、そして本作までをこなすシャーリーズ・セロンは本当に素晴らしい。セス・ローゲンも持ち味を出しているので、このお二人が好きな方にはお勧め、という感じでしょうか。