イメフォの長編アニメーション特集で。
一週間ひたすらイメフォに通い観た中ではこれが一番好きだったかも。
邦題があんまり良くなくて、可愛い系の児童ものを想像すると全然違うので注意。(でも英題も「魚屋さんのリトル」だからそもそも原題がこんななのか)。
誰でも幼い頃に読んだことがあるアンデルセンの人魚姫のお話しを人形アニメーションで現代劇に仕立てたもの。
本来の人魚姫ではお姫様が恋するのは王子様だけど、こちらのリトルが惚れるのはイケメンの風俗店のオーナーHH。魔女に頼んで人間の足を手に入れ一時HHと恋仲になるも、彼はやがて別の女と結婚してしまう。
ダークで背徳的でセクシュアル。なんとも耽美で叙情的な、おとぎ話の世界。
HHを見初め、彼を遠くから見つめるリトルの眼差し。ほんの束の間、彼に愛され過ごすめくるめくような時間。つんざくような足の痛みに耐え、家族の元に二度と帰れなくとも、叶えたかった想い。
リトルの健気な熱情、恋を通して女になっていく表情の変化。些細な気持ちの揺らぎがほんの少しかしげた人形の目元からじわじわと伝わってくるような繊細な感情表現に、人形劇の無限の可能性を見せつけられてただただ圧倒された。
何かを手に入れることは何かと引き換えること、それでも全てが上手くいくわけじゃない。短い間懸命に恋に生きたリトルの命がきらきらと海に輝き、魚たちのオーケストラが悲しみの音を奏でる切ないエンドロールに、しみじみと打ちひしがれました。