阪本嘉一好子

ガンジスに還るの阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

ガンジスに還る(2016年製作の映画)
4.7
まったくヒンズー教を理解していない私が観たこの映画に関してのコメントを書くのは難しい。
だから親子関係の愛について書く。どこの世界でも聞いたことがある似たような親子関係が繰り広げられるが、ちょっとこの年代のギャップと言えるかもしれない関係には疲れてしまう。77歳のダヤとビシネスマンで働き盛りの息子ラジブ(Aadil Hussain)との関係。ラジブ と娘スニタの親子関係も伝統的な見合い結婚させたがったり、女性の地位の低さなどを含め、あまりにも親が子供をコントロールしすぎていて疲れる。そして、親は子供との関係を考え直さず、また同じことをその次世代の子供にしてしまう。
でも、世代を一つ置いた、ダヤとスニタ(祖父と孫)の関係は至って健康的であり、
祖父のダヤは孫に『自分の心に忠実であれ』というくらいに、深く理解を示している。それにも増してダヤは自分が子供にきびしく叱ったことを忘れて、ラジブにスニタに厳しすぎるという。バラナシというガンジス川の聖なる場所『サルベーション』というホテルを死の準備をする場所として選ぶ。楢山節考の老婆の死の場所である山を思い出させた。

インドのニューデリーでは煙害が大きな問題になって、旅客機も飛ぶことができなくキャンセルが出ていると新聞で読んだ。伝統的な焼畑農業、祭りディーワーリーや建築現場、工場、車の排気ガスなどで、人々は苦しんでいる。果たして、聖なるガンジス川の辺りで遺体を焼くことや、ガンガ アアティ などは地球温暖化のため廃れている行事になるのだろうか?