まりぃくりすてぃ

葡萄畑に帰ろうのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

葡萄畑に帰ろう(2017年製作の映画)
2.0
軽コメディ色がかなり楽しくも映ったし、ミディアムなテンポも途中までは受け止めやすかったんだけど、、、、前半のうちに息切れしちゃった映画。
ストーリー10回書き直してもこれはムリだろな、たぶんプロット段階で魅力ないから。

大臣のイス、をモチーフにしていながら、執政内容がほとんどまったく出てこない。
長女がバイクで颯爽と登場したあたりで、さぞかしスリリングな政争や弱者保護闘争が繰り広げられるんだろうなと予想されたのに、娘は役割希薄な恋愛謳歌係(のしかも脇役)へと下がっちゃう。
物体としてのイスそのものにナビゲートされる可笑しみはずっとあるものの、大臣をクビになる男の、私生活(家屋/後妻めとり/同居人たちとの軋轢)だけが浅めに描かれ、しかも浅いわりにはヤケクソ展開だけが待ってる。これだったら、大臣じゃなく「社長」でも「会社役員」でも「大農場主」でもいいのであって。。。
あたかも「大臣ならではの葛藤」「老母や故郷との係わり」が葡萄畑とともにコッテリなのかと予告編やチラシで想わせておいて、全然。老母は後半まで出てこない(出てきてからも役目らしい役目がない)し、葡萄畑とワインなんて各十数秒間しか出てこない。邦題詐欺!!(英語題の直訳は『イス』です、はい。)
同居義姉の上沼恵美子らしさや、後妻の胸チラや、息子のチリチリ長髪、、、そんなのはみんなジャマ気味かも。

イスさんは、前半は確かにワクワク要員だったんだけど、、、、そのうちに、、、、、、、。。。。
実写映画のリアリティーを「わざわざ下げる」ためのこういうCG多用は、痛い。子供用の映画じゃないのになぜローファンタジーの無骨さを必要以上に暴走させる?

ジョージア(グルジア)映画にはだいたい三つの特長が。
❶ 美男美女が必ず出てくる
❷ まじめである(なかなか不まじめになれない)
❸ 社会性(特に、負の面をしっかり)
本作もその系譜から全然外れてない。だが、良さが足りない。まるで欧州のどこか無個性な小国(?)が作ったような凡庸さのこんなガッカリ作を「面白いでしょッ」とばかりに発表しちゃうぐらいに、ジョージアが平和な国になったんだとしたら、まあ、、、ガマルジョス(乾杯)!

作中、チラッチラッと出てきた白黒映画、『ケトとコテ』っぽいなと思ってたら、本当に『ケトとコテ』だった。今や私もジョージア映画評論家の一人になっちゃったな(苦笑)。。。