ジョジー

彼が愛したケーキ職人のジョジーのレビュー・感想・評価

彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)
4.1
イスラエルでは愛する妻・息子と幸せに暮らすオーレン。彼は出張先のベルリンでケーキ職人の青年トーマスと恋に落ちます。オーレンの二重生活は誰にも知られず、切ないけれど幸せな時間は続くはずだったのだけど…
恋人からの連絡が途絶え気持ちの整理がつかないトーマスは、オーレンが家族と暮らすエルサレムを訪れるのですが、彼は事故で亡くなっていたことを知ることに。
それでも尚、オーレンの存在を感じられる場所を求め行きついたのは、妻が再開したカフェ。そこで働くことになったトーマスは、美味しいクッキーやケーキを焼くことで、オーレンの妻アナトと次第に距離を縮めていきます。
会話よりも表情や視線で感じるものが大きかったです。誰も知る人がいない異国の地、ユダヤ教の戒律や言葉の壁、様々な逆境の中に身を置きながら、未だ彼への想いを断ち切れないトーマス。
だけど、愛する人を失った悲しみはアナトと息子のイタイも同じ。彼らと過ごし、クッキーを作り、ケーキを焼き、食事を共にする、そんな静かな時間の中に安らぎを感じていたのかもしれないな。ただ、事実を心にしまい込んだままのトーマスの気持ちを想像することは容易ではないけれど…。
ラストシーンは、観る人それぞれに委ねられてる感じはしましたが、個人的には良い余韻を残してくれました。良かった!

トーマスを演じるティム・カルコフはスタイルも良いとは言えないし、イケメンでもない? だけど、実直な青年というのはハマってました。お初でないのはアナトを演じたサラ・アドラーだけ。彼女も『運命は踊る』で初めて観たんですが、今作の方が印象に残りました。ケイト・ウィンスレットとシャルロット・ゲインズブール足して二で割った感じ?(失礼か)
劇中でトーマスが焼いている“黒い森のケーキ”がめちゃめちゃ美味しそう!ドイツでは定番のケーキのようですが、日本でも販売されてるなら食べてみたいな。
ジョジー

ジョジー