わかまつ

北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイのわかまつのレビュー・感想・評価

4.0


苦しいときほど笑顔で

Filmarks試写にて鑑賞。
反政権的な楽曲と奇抜な演出でカルト的人気を誇る取扱注意なロックバンド「ライバッハ」が、世界からも目を付けられてる言わずと知れた未知の隣国北朝鮮からライブの招致を受けその歩みを追ったドキュメンタリー作品。

何の前情報もなく鑑賞したのですが度肝を抜かれる映像でした。
過激な表現で非難を浴びてきたライバッハが実は芯がちゃんと通っていて一貫してあるメッセージを打ち出している。
対して北朝鮮は外との情報が断絶されて国民が洗脳されていると思っていましたが、そこで暮らす人々は公園で運動したりスマホをいじってごろごろしたり至って「普通」な暮らしを送っておりそこには幸せそうに見える人もいました。

蓋を開けると真逆のイメージも持ち合わせていた2つの警戒しあいながら調和していく時間はまさに映画的で食らいついて見てしまう。

大きな組織から見れば口をだしたくなる小さな組織。たまたま外の情報を知らないだけでこっちはこっちで幸せなんだよ、というのは北朝鮮にも世界にも言えることで大事なのは規模より個々なのではないのでしょうか。
この作品からはそんなメッセージが聞こえました。

過激なモノには過敏に反応し非難しがちな世の中ですが、「人を見る」「自分の価値観を押し付けない」ことの重要性を考えさせられます。
「苦しいときほど笑顔で」これは作中ある登場人物が口にするセリフですがその深さに大きく頷きました。

ドキュメンタリーというより資料映像としても一見する価値が充分にあると思います。
ライバッハの楽曲もかっこいいです!
わかまつ

わかまつ