TOMMY

北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイのTOMMYのレビュー・感想・評価

3.3
北朝鮮で海外ミュージシャンとして初のライブを行うことになったロックバンドのライブ開催までの混乱の1週間を追ったドキュメンタリー。祖国解放70周年記念日に海外からミュージシャンを招くこととなった北朝鮮政府は、ロックバンド「ライバッハ」を招へいする。ナチスを彷彿とさせるスタイルで問題視されているライバッハだったが、北朝鮮を訪れた彼らを待っていたのは、想像を超えた厳重な監視体制だった──。

「 表側だけ見れば、そこは完璧に機能しているユートピアだったんだ 」

フィルマークス試写会にて視聴。
ライバッハの存在は全く知らなかったのだが、全く知らなくてもどうにかなる構成だった。ドキュメンタリー調で進んでいくので彼らの生い立ち、過去のライブやスタイルなどを一から学ぶことが出来る。言語の壁や厳しい規制によりライブの準備は思うように進まないもどかしさ、色々と問題の多い国である北朝鮮の実態が今までにないほど鮮明に描かれている。
拉致問題やミサイル問題により、私たちは北朝鮮に対してあまりプラスの印象をもっていない。ある意味でナチスと同様な部分も多いと言われているあの国と、ナチスをなぞったスタイルをとっていると言われて批判されているライバッハは、やはりどこか通じる部分が多いのかもしれない。何故北朝鮮がライバッハを招待したかは明かされていないが、彼らの不遇とも言える境遇にお互いシンパシーを感じたのではないか、と考える。
一つ惜しかったことは、ラストのライブの映像が少なかったことだ。仕方ないことではあるが、ラストの締めくくりがやや盛り上がりに欠ける。ドキュメンタリーの形式をとるなら、しっかり着地は重視して欲しかった。
しかしそこを抜きに考えれば、今まで偏った見方しかしてこなかった国とバンドの裏側に密着した貴重な映像であるし、どうなるのか全く想像できない分最後まで退屈しない作品であることは間違いない。閉鎖的なあの国の内情を知りたい方は必見。