horahuki

REDCON-1レッドコン1 戦闘最大警戒レベルのhorahukiのレビュー・感想・評価

3.2
未来への希望を守り抜け!!
ゾンビウィルスが蔓延した封鎖地帯で、抗ウィルス開発への希望である博士を守り抜こうとする精鋭部隊を描いたサバイバルアクションホラー。

WWC2018という企画で上映された作品です。これも劇場に行こうと思ってたんだけど、こちらでは11月公開で12月レンタル開始だったんでスルーしました。でも劇場行けば良かったかも…。

あらすじ…
人体実験によりゾンビウィルスが発生。一気に感染が拡大し国土の半分ほどが封鎖されたアメリカが舞台。封鎖地帯にウィルス開発者であり、抗ウィルス剤を生み出せる唯一の存在である博士がいる。精鋭部隊が博士救出のために封鎖地帯へと乗り込むが…。

物語は面白いんですけど、演出・見せ方が全く追いついてないせいで全てが安っぽく薄っぺらく思えてしまう勿体ない作品でした。あと、ジャケにも進化系ゾンビと書いてあるように、モダンゾンビとは若干違うので、ロメロ的なのを期待すると残念な結果になると思います。

本作のゾンビは賢くて強い。ゾンビ成り立ての時はただただ凶暴なだけだけど、次第に理性が回復し組織行動も可能。しかも身体的にも強化されてる。まあ、強さを実感できるようなシーンが少なかったのが残念ですけどね。ちなみに食人衝動とか噛まれたら感染というのはモダンゾンビと同じです。逆にそれ以外は結構違うので、そもそもゾンビと言って良いのか微妙だけどね。

本作は二部構成になっているんですけど、前半が全く面白くないんです。冒頭、「あ…これはおもんないわ…」と予感させる頭デッカチなシーンで一気に本編への興味が削がれちゃう。実際に何をするにしても安い映像の連続だし、物語的にも特に捻りも見られず、全く見どころがないまま半分が過ぎてしまうという…。

ただ後半はかなり好み。安い演出・見せ方はほぼ変わらないんだけど、ベタながらも熱くさせてくれる展開は面白い。国という強大な存在を相手に、国から見捨てられた者やはぐれ者たちが文字通りの「希望」を未来へと受け継がせるために、もともとは争っていた間柄にもかかわらず協力し合い身を呈してまで「希望」を守り抜こうとする姿はグッときます。

国から与えられたものによって、国の良いように「進化」する(させられる)人々とそれに抗おうとする人々の対立構造もどこか象徴的。果たして次代へと受け継ぐべきなのはどちらなのか。そこに人々の良心や意思の力をかませた展開は脚本としてはかなり錬られたもので面白いと感じました。前半部分は後半のドラマを際立たせるためのものではあるんだけど、ここまで前半に時間を使う必要はなかったと思うので構成の歪さが勿体ないですがね。

ゾンビ映画の体をなしてはいますが、旧来の人々とは価値観の異なる人間が国の独断的な行動によって生み出され(国に洗脳され)、愛も自己の意志も持たない新たな人間として、旧来の人類と戦うお話って感じかな〜と思いました。人間としてのアイデンティティをかけた戦いみたいな。だからやってることは悪くないんですよね。演出、見せ方、構成が良ければ…。勿体ない。。。
horahuki

horahuki