黙秘。
そんなタイトルで、
原作はスティーブン・キング傑作小説で、
主演は（ミザリー）のキャシー・ベイツ。
そしてプロットはひとつ。
彼女は殺したのか？殺していないのか？
うん、それでいい。
それだけで充分。観たくなる。
最近の映画は（親切なもので）
タイトルもポスターも予告編も、
そして本編も、実に喋り過ぎる。
まだ1ページ目を開いただけなのに、
50ページ目、100ページ目あたりの
ことを、実に親切に教えてくれる。
僕はミステリーが好きだ。
ミステリー小説も、ミステリー映画も。
ミステリーって伸ばすのか、
ミステリって伸ばさないのか知らないけど、
とにかく好きだ。犯人は誰とか、
殺し方のトリックとかは、そんなに。
それは中身が大人の小学生に
任せておけばいい。
僕が好きなのは、動機だ。
キャシー・ベイツ扮するドロレスと言う名の
メイドが、仕えていた大富豪の未亡人を
殺したのか、それとも殺してないのか？
そもそも、彼女は
（何を黙秘している）のか？
スティーブン・キングが
（キャシー・ベイツを念頭に置いて
書かれたと言われるキャラクター）を
キャシー・ベイツが演じている。
僕はミステリーが好きだ。
なかなか全容が見えてこない。
（よくわからない）渦に僕は
放り込まれる。それでも全体像は
まだ見えてこないが、（その渦）は、
何か大きなうねりを持って、
ひとつの方向に集中してゆくのに気付く。
得体の知れない何かが、
大きな渦となり、その渦の中にいる僕は
オシッコをチビりそうな程のカタルシスを
覚える。鳥肌をたてる。
薄皮をゆっくり剥ぐように
見えていなかった景色が見えてくると、
あぁ、と、声がもれる。
