horahuki

インサイドのhorahukiのレビュー・感想・評価

インサイド(2016年製作の映画)
3.3
全国のイザベラさん可哀想…。
待ちに待った『屋敷女』リメイク『インサイド』見てきました♫

そんで結論から言うと割と良かったんじゃないですかね。世間的な評価はボロクソでその理由も良く分かるんだけど、ミゲル&ジャウマの持ち味をもって『屋敷女』をうまく改変してたように思います。

多分何よりも評価を落としてるのはその無難さ。オリジナルは荒削りなところが多々ありつつも、情け容赦ない描写と、残酷シーンで流れる不快感を煽る乾いたBGM、そして圧倒的インパクトを残す伝説的シーンを生み出した功績が大きくて、そういったところが未だにカルト的人気を博し愛され続けてる理由だと思うんです。

それに対して本作はホームインベージョンスリラーとして手堅い作りになっているものの、オリジナルのような尖りまくった作風ではなく、ミゲル&ジャウマの持ち味とも言える(多分)手堅く冒険しない優等生的なものとなっている。私的にはそれはそれで全然アリだし、同じ方向性で勝負しようと思ってもモーリー&バスティロがオリジナルで突き抜けてしまった以上、敗北は見えてるわけだし。

でも、そんな万人ウケする方面への改変の中でもオリジナルへのリスペクトは忘れてない。母親の子への愛情はそれがたとえ歪であったとしても、何よりも強く美しいものだというオリジナルの本質は見失わずに、大きく改変された終盤にもかかわらず、それをしっかりと感じさせる丁寧な作りになっている。というか終盤に差し掛かるまでは多少の改変はあれどほぼ同じ展開です(笑)本作では新たなアイテムとして補聴器が出て来ますが、オリジナルにあった衝撃(笑撃?)展開のひとつを肉付けする程度にしか役立っていないのは残念ですがね。

あとベアトリスダルに感じたカリスマ性は今回の侵入者にはそれほど感じなかった。知性と粗暴さを共存させたような素ぶりに時折吸うタバコというのが妙にマッチしてて、絶対的な悪役でありながらカッコよさをも滲ませた「女」というキャラクターはオリジナルの大きな魅力になっていたと思います。その点、本作はやはり「普通のおばさん」という感じが強くて、インパクトは弱く感じる。そこのところが今回の改変の趣旨には合致してるので、ある意味正解だとは思うのですが、ベアトリスダルの「女」を知ってる以上どうしてもね…(^_^;)

そんな感じで、気になるところは多いしオリジナルが好きな方にとってはかなりの残念作だとは思うのですが、ホームインベージョンスリラーとしては十分楽しめる作品だと思います。
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