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ラ・チャナのkassyのレビュー・感想・評価

ラ・チャナ(2016年製作の映画)
3.4
試写会にて。

スペインの伝説的フラメンコ・ダンサー、ラ・チャナの人生と魂の踊りのドキュメンタリー。

ラ・チャナの踊りはかなり独創的であり、即興的である。
彼女は語る。
フラメンコとは、コンパス(リズム)があれば良い。あとはアルマ(魂)で踊るだけ。
劇中、彼女のワザを他人に教えてみせるが、その言葉は素人にはさっぱりわからず、真似できそうにもない。
彼女の刻むリズムは不均一であり、自由自在に変化しいく。それがエモーショナルであり、悲壮感すら感じるほどに極限まで踊る。

何故そんな踊り方を?
それは彼女の背景がそうさせるのだと作品を見るとわかる。
才能に恵まれながらも、女性に人権がなかった時代。
舞台の上でだけ自由でいられて、舞台の上でしか輝くことができなかった。
だからこそ彼女の踊りは身を削りながらも光り輝く事を思い知らされた。

ラストは、彼女が長年のブランクを経て踊る姿が記録されている。
現在71歳のラ・チャナは、もはや立って踊る事も出来ない。
しかし、座りながら刻むステップ、リズムは今もなお力強く、観るものを圧倒する。

それは、魂の踊りだから。
フラメンコは、彼女たちの魂の叫び。
だから観るものの心を揺さぶるのだ。

71歳の彼女に、パワーをもらえるドキュメンタリーだった。

踊りはすごいが、人柄はチャーミング。
アイスをねだるシーンなんかは、とくに可愛かった。

しかし、ドキュメンタリーの構成、としては、もう少しテンポ感をもって編集してもらえたら…なお良かった。
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