小一郎

ラジオ・コバニの小一郎のレビュー・感想・評価

ラジオ・コバニ(2016年製作の映画)
4.3
シリア北部の街コバニで手作りのラジオ局を立ち上げた大学生たち。イスラム国(IS)との戦闘により瓦礫と化した街の復興に力を与えていく。

死体をゴミのように片付けるそばで腐乱臭に顔をしかめる人々。戦闘被害からの復興の現実に容赦がない。

そんな中、今の状況を聞くこと、他の人の様子を聞くこと、音楽を聴くこと、それらがどれだけ励みになることか。平和な社会に暮らしている自分にはなかなか実感できないことが、しっかりとわかる。

個人的に印象に残ったのは、捕虜となったISの兵士の尋問シーン。貧しさに、殺すのは邪教に従う悪い奴とのイージーな理屈が後押し、手っ取り早くお金がもらえるISの兵士になる。ひとたび人を殺してしまえば、その罪悪感から逃れようと「神のため」とより強く思い込み、さらに殺戮を繰り返す。

彼らにまず必要なのは「子どもや年寄りを殺すことは神のためではない」というモラルよりも「衣食足りて礼節を知る」という言葉の実感なのかもしれない。

ラジオ放送に着眼し、コバニの物語を伝える。悲惨な状況だけでなく、希望も描く。人間は逞しいし、ISの兵士もまた人間。可能性はある。

●物語(50%×4.5):2.25
・シリアのドキュメンタリーながらも希望を主に描いているところがとても好き。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・友人たちとラジオ局を立ち上げたのは20歳の女子大学生ディロバン。子どもたちに向けてという視点が胸を打つ。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・なかなかの衝撃。