りめんばーみー

ゲッベルスと私のりめんばーみーのレビュー・感想・評価

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
4.1
『ゲッべルスと私』鑑賞。
観客は私より年上の年配の方が圧倒的に多く、平日のこともあるが、若いのは私含め二、三人(そんなに若くないけど)。
ブルンヒルデ・ポムゼルのインタビューがずっと流れ、途中途中に当時の映像が挟まれる。

はじめに彼女を弁護します。
【ホロコーストは知らなかったということ】
ボルゼルは言う。強制収容所であんなことが起こっていることは知らなかった。
それに対して、欺瞞だ、嘘だというレビューもみるが、そんな人には『顔のないヒトラー』をオススメする。
ドイツ国民(ナチの一般職員含め)は戦後すぐは虐殺の事実は本当に知らず、落ち着いた頃になりやっと行われた蛮行を知る。そして、旧ナチス党員を逮捕し、裁判にかける実話が『顔のないヒトラー』では描かれる。
ボルゼルの言は、嘘でも自己弁護でもない。

彼女の言葉から印象に残っているもの。
●若い人たちは言う。私ならあの体制に協力しなかったと。それは無理。誰もそれはできない。
●信じてもらえないだろけど、虐殺していたことは知らなかった。ソ連で五年の抑留に後に知ったわ。
●強制収容所があることは知っていた。でも喧嘩した人たちが入るようなところで、刑務所がいっぱいになってしまうから、そこでまず矯正するのかと。

そして、最も印象に残った言葉。
●神はいない。でも悪魔はいるわ。この世に正義はない。


見ないこと。知ろうとしないこと。行動しないこと。そこに第一次世界大戦のドイツ敗北→国民の貧困も絡み、無自覚になだれこんでいったことが、よくわかる。
今の日本も同じ要素が本当に多い。
これを見て、単なる映画とするか、それとも血肉とするかを監督に問われていると感じた。
りめんばーみー

りめんばーみー