観終わった後に、
深いため息が出てしまう。
現実とのギャップに
しばし戸惑ってしまう。
そんな圧倒的な力を感じる作品です。
とても静謐なつくりである分
現実の非情さが浮き彫りになります。
モノクロフィルムにすることで
刻まれた皺の深さや
瞳の中にある戸惑いが
うつしだされます。
過去をみることで
今を見つめる。
映画の中で語られることは
今後決して繰り返しては
ならない過ちについてですが、
人間の心の中の普遍的な悪しきもの
とどう対峙していくかは
現代を生きる私たちの
当事者としての葛藤を呼び起こします。
鑑賞しながら、
モラルジレンマに
苛まれる作品です。
考えてみたところで、変わるのは
自分の心の中だけですが…
凡庸な悪にならないために
見つめ直す意義のある作品だと思います。
関連本も出版されているので
そちらも読んでみたい。