Rosalie

ゲッベルスと私のRosalieのレビュー・感想・評価

ゲッベルスと私(2016年製作の映画)
3.5
観終わった後に、
深いため息が出てしまう。
現実とのギャップに
しばし戸惑ってしまう。
そんな圧倒的な力を感じる作品です。

とても静謐なつくりである分
現実の非情さが浮き彫りになります。
モノクロフィルムにすることで
刻まれた皺の深さや
瞳の中にある戸惑いが
うつしだされます。

過去をみることで
今を見つめる。
映画の中で語られることは
今後決して繰り返しては
ならない過ちについてですが、
人間の心の中の普遍的な悪しきもの
とどう対峙していくかは
現代を生きる私たちの
当事者としての葛藤を呼び起こします。

鑑賞しながら、
モラルジレンマに
苛まれる作品です。
考えてみたところで、変わるのは
自分の心の中だけですが…
凡庸な悪にならないために
見つめ直す意義のある作品だと思います。

関連本も出版されているので
そちらも読んでみたい。
Rosalie

Rosalie