seckey

1:54のseckeyのレビュー・感想・評価

1:54(2016年製作の映画)
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ティムは1:54を守りたかっただけなのに。ただそれだけで、彼は走るのが好きな、ごく普通の16歳だったのに。
むごいストーリーは実は現実にも起こり得る。言葉も、群衆も、SNSも、爆弾も、ぜんぶ凶器だ。たすけたかった。ティムのまえに立って、”同性愛がなんだよ、黙れクソガキ”って大声で怒鳴ってやりたかった。少数派ってだけで立場が変わるのはおかしい。愚かなのは進化できない群衆(ジェフやクラスメイト)、受け入れる側は器の狭さを恥じるべきで、求め合ったティムやフランシスじゃない。
けど自分がそれをやられたら-せまい世界でそれをやられてしまったら-戦えないかもしれない。
わたしは今とてもとても哀しい。これがファンタジーではなくて、限りなくリアルだと知ってしまって、この感覚は他人事に思えないし、何より”もしも自分だったら”の先の思考をストップしているズルさを自覚していることが、とても哀しい。
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