秋日和

ジャングルの掟の秋日和のレビュー・感想・評価

ジャングルの掟(2016年製作の映画)
4.0
ヘリコプターが巨大な像を運んでくるだなんて、なんて挑戦的な監督なの?と思わずにはいられない。だから、不味そうな機内食を後ろの座席にポイッと放り投げるシーンで思わず笑ってしまっても、決して油断なんてできない映画だった。
新たな観光名所を開発していく仕事にも拘わらず、画面上では頻繁に破壊が繰り広げられているのが面白い。落ちて、投げて、乱射して、挙げ句の果てに脳みそにチーズまで詰め込んでしまって、どんどん混沌としていくのに、仲の悪かった筈の男と女は目一杯手を伸ばして真っ直ぐに進んでいく。
片っぽしか電気のつかない、隣り合わせの部屋のショットや、煙草をふかしながらピアニカを奏でるヴァンサン・マケーニュと、楽器のように身体を動かす夜の青虫。どう考えてもブッ飛んでいる作品のなかに、ときどきハッとさせられてちゃうショットが幾つも紛れ込んでいるのも、忘れないようにしておきたい。おかしなおかしなこの映画のお話を誰かに聞かせようとすると、これらの魅力的なショットはうっかり取り零してしまうような気がするから。
秋日和

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