レオ演じるリック・ダルトン
かつてはテレビスターとして名を馳せたが映画にキャリアを移そうとしていて、今では中途半端な立ち位置になってしまい落ち目の役者
そしてそのスタントマン兼付き人として付き添うブラッド・ピット演じるクリフ・ブースはいつも冷静だが、戦争の帰還兵で暴力を厭わない怖さがある
この2人のキャラクター、個性、関係性が最高でこれだけで見てられる
立場だけを考えればリックの方がイケイケっぽいのに、性格面ではクリフの方がクールでイケイケって感じ
リックが弱気になって泣いたり、弱音を吐いたりしたらいつもクリフが励ましている
クリフは何があっても文句も言わず、弱音も吐かず淡々とやるべきことをやる
この2人の関係に仕事の関係を超えた友情があることが随所のシーンでわかる
また、演出力、レオとブラッドの演技力のせいか2人のシーンはずっと見てられる
特にレオが楽屋のバンで自分にブチ切れるシーンとか冒頭で泣いちゃうシーンとかめっちゃおもろい
逆に、ブラッドピットの方はめっちゃかっこいい
ボロ車で爆速出して家に帰るシーンとかヒッピーたちを黙らせるシーンとか
タランティーノの演出が光ってるなって思うのはまず音楽
ノリノリな音楽はどのシーンも映えるものにしてるし、たまに無音にすることで緩急をつけて緊張感を出したりするとことかはたまらない
加えて、タランティーノが作る会話とか絵が面白いのは出てくる登場人物たちが全員真剣ということだと思う
ただウケを狙いにいって奇想天外な事をさせたり、会話させたりするんじゃなくて
登場人物たちがめちゃくちゃ真剣に会話してるのに第三者から観れば面白いというこのバランスが絶妙
また今回はリックが出ている映画やテレビドラマの映像を実際にフィルムで作って流しているから絵の雰囲気が定期的に変わり、テンポが良くなってダレない
それと今回はナレーション方式がたまに出てくるけどその時に「〜した」で説明して終わりじゃなくてその映像を組み込んでくるから、それも絵の味変みたいになって映像のテンポが良くなって飽きないようになっている
カタルシスは最後の最後に置かれてる
カルト集団をブラッドピットがボコボコにしてしまいにはレオが火炎放射器で焼くシーン
この一連の流れはひたすらこっちの期待を裏切ってくる
ブラッドたちがやられるのかなと思ったら
逆にボコボコにする
つい笑っちゃうくらい気持ちのいい暴力
あと、その過程も全部想像を超えてくる
犬を使ったり缶を使ったり
もうびっくり
クリフがラリってしまってることがこの暴力の動機の裏付けとして働いてる
シャロン・テートが殺害された事件を知っていると本来ならシャロンを殺すはずのカルト
たちを止めるのは気持ちいいものになる
タランティーノ節の効いた粋な映画でした