穂洋

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの穂洋のレビュー・感想・評価

4.7
クエンティン・タランティーノ監督最新作。登場人物が強烈な個性を持っている分、メロドラマ的な起伏が抑えられ、全編を通して繊細な多幸感が溢れる。事件が起こることを観客は分かっているからこそ、物語が進んでいくこと自体がサスペンスであり、全てのシーンがあの一晩へと繋がる。マーゴット・ロビー演じるキュートなシャロン・テートがスクリーンに映し出される度に、観る者は凄惨な事件を思い出し不安に駆られる。映画では彼女の全てのストーリーを描いているわけではなく、語られるべき物語というものもあるだろう。しかしかつて事件の被害者とだけ定義されてしまったシャロン・テートのイメージを、映画の中のマーゴット・ロビーを通して変革するという大きな意味を持つ作品であることは間違いない。
穂洋

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