NonCorleone

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのNonCorleoneのレビュー・感想・評価

4.4
ありがとう。タランティーノ。

まさかタランティーノの映画で感極まるとは。してやられた。
シャロンテート事件を予習していて本当によかった。

この映画に映るハリウッドは紛れもない60年代のハリウッドだ。21世紀に生まれた僕でも分かるほど鮮明で忠実だ。多くの人々がかつてハリウッドに憧れを抱いていたその気持ちを今理解することが出来た。タランティーノの中では珍しいスローテンポで映し出すハリウッドの風景を私たちはじっくりと堪能することが出来る。

そして、物語はゆっくりと徐々にあの事件に近づき、匂わせる描写が増えていく。ラスト15分、僕の心臓の鼓動は本当に激しかった。



ここからネタバレです。








タランティーノは新たな世界を作り上げた。世界中に衝撃を与えたあの事件は、この世界では、主人公二人が後に武勇伝として語るような、すぐに忘れられる小さな事件になった。ハリウッドでは明日も変わらず映画がつくられるだろう。シャロンテート主演の映画がつくられるだろう。もちろんリックのもね。
あの世界ではブルース・リーも、ジョンカザールも長生きするし、ロビン・ウィリアムズだって自殺しない。ヒース・レジャーも生きてる。そんな気がする。こうであって欲しかったという映画ファンの叶わない願いが実現する世界なんだ。
そんな世界が産まれたことに僕は感動した。
この世界の片隅にで終戦を迎えた時に近い感動だった。
タランティーノの、映画に関わる全てへの愛がこのラストで一気に放出された。歴史に残り、歴史を作った映画。
NonCorleone

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