カルダモン

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのカルダモンのレビュー・感想・評価

5.0
60年代のハリウッド映画と街に与えられたもの全てに、映画で応えるという愛。そしてシャロン・テートを映画で救い出すタランティーノの漢気に涙。一夜明けても余韻に包まれて、身体中がジ〜ンと痺れたままの今現在です。

激動のハリウッドに取り残された俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、彼のスタントマンであり、どこか悠々自適なクリフ・ブース(ブラッド・ピット)のコンビがとにかく素敵!カッコイイ!やっぱり大スクリーンに映えるね。ハリウッド二大スターの起用は喰い合いにならないかと不安に思ってたけれど杞憂でした。レオはそこそこ成功しながらも落ち目の俳優という微妙な役どころだが、それを見事に演じきってしまうレオはやはり上手い。そしてシャロン・テート(マーゴット・ロビー)のキュートさには誰もが笑顔になってしまうでしょうね。三者三様で立場は違うけれど、それぞれの希望と挫折が入り混じるハリウッドの街は活力に満ちている。ここには夢心地にさせてくれる特別な何かがあるのだろうと、当時の街を歩くような気持ちで、後部座席からの風景を見ていた。

ハイライトだったのはシャロン・テートが映画館で自分の出演作を観に行くシーン。笑いの起こる劇場でニコニコしながら自身の映画を観ている彼女。お客の好感触な反応にニッコニコの笑顔が目に焼き付いた。劇中内でかかっているのは実際のシャロン・テートが出演した『サイレンサー第4弾/破壊部隊』という映画。彼女の身に起こる事件を知ってしまっているだけに、映画でしか成し得ない魔法の時間が幸せだった。

キラキラ輝くLAの街並みが眩しい一方、ヒッピーのカルト集団が不穏。特に農場に足を踏み入れる場面のサスペンスでは明らかに空気が変わったのを感じた。「ヒッピーのカスども」「悪魔のクソ」にブランディの牙が喰い込むカタルシスたるや。

『イングロリアスバスターズ』『ジャンゴ』に連なる歴史を変えるタランティーノのお伽話。このヘンテコな映画オジサンの話をもっともっと聞いていたいファンとして、本作で引退などとならぬよう、という意味を込めてスコア4.9!
、、、と思ったけどやっぱり5!

69年ハリウッドを再現してくれてありがとう!
あー幸せ!