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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのshingoのレビュー・感想・評価

3.9
これまでも映画のための映画しか撮り続けて来なかったタランティーノが初めて映画業界そのものをテーマに映画を撮る。というのは、これまでの映画人としての人生を締め括るという意味だろうか。

69年のハリウッドという世界をタランティーノが独自に脚色を加え再現。「イングロリアス・バスターズ」を思わせる火炎放射器とかかなり無理のある世界だが、そもそも大衆にとってはハリウッドなんてある意味ファンタジーのような世界なのであまり違和感は無い。虚構の落ち目のスターとその専属スタントマン(ただし中身はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという超ビッグスターである)のコンビと、実在するスター達によるフィクションを混じえたストーリーで観客をぐいぐい引っ張って行く。勿論トドメの超バイオレンス・シーンも健在。

殆どの方が書かれているようにシャロン・テート事件やマンソン・ファミリー、当時のヒッピー・カルチャーを予習することをお薦めするが、エンターテイメント作品としてただスクリーンで起こる出来事を追うだけでも十分楽しめる(相変わらず冗長に感じる部分も多いが)。でも予習するならついでにマカロニ・ウエスタンの代表作、ブルース・リー、スティーブ・マックイーンあたりの背景を押さえておくとより楽しめるかも。

因みに余計なことを書くと個人的に「ニュー・シネマ・パラダイス」が死ぬほど嫌いで、映画愛とかいう当たり前のものを売りにしただけのあの作品の何が良いのか全く理解出来ない。映画愛に溢れていてもそれを絶対に押し付けがましく描かないタランティーノ作品を観ると改めてそう思った。

この作品が最後かもしれないので今の気分でランキングをつけると

1 パルプ・フィクション
2 デス・プルーフ in グラインドハウス
3 レザボア・ドッグス
4 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
5 イングロリアス・バスターズ
6 ヘイトフル・エイト
7 ジャンゴ 繋がれざる者
8 ジャッキー・ブラウン
9 キル・ビル Vol.1
10 キル・ビル Vol.2

どれもまだ一回しか観てないので変わる可能性大です。しかし長尺の作品多過ぎ…
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