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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
俺がもっと詳しければ、もっと面白がれるのに!な
もどかしさをずっと味わう3時間

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タランティーノ信者すぎて、新作が公開されるってだけで♪ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ♪ ←こんな感じ。どうしたってサイコー!以外の感想が残らない。
案の定、今作もサイコーの出来。10億★!


タラちゃんの好きな事全部盛りが作風だけど、今回はいつにも増して本気の全部盛り。情報量が多すぎて、メモを取りながら見てたらメモ帳ビッシリになっちゃった。
ここ何作かタラちゃん集大成に感じられる作品が続いたけど、今作はいよいよ本当に集大成しちゃった感じ。主要キャストを勝手知ったるタラ組の面々で固めて、やりたいこと全部やったろう感😆


3時間は長いと思って覚悟してたけど、終わってみればあっという間。3時間どころか、80時間くらいでもいいくらい。ズーーッと放送してるチャンネルが欲しいくらい。
なんちゅーか、いい湯加減の映画で、平日の気だるい昼下がりに適度に面白くて適度にスリリングな映画を見てる気分。気がつくと昼寝になっちゃってたりするのが理想。ダラダラ見るのに丁度いいってわけじゃなくて、昔の映画館みたいに途中入場して見始めても面白いし、どこを切り取っても面白い。
それでいて、ちゃんと伏線が回収されたり、ラストで溜飲が下がるのが凄い。

丁度、Netflix「マインドハンター」でチャールズ・マンソンが出てきたばかり。「シャロン・テート事件」を復習したとこだったので丁度良かった。

ハリウッドの悲惨な記憶をゴールにして、「タイタニック」式にみんなが知ってる結末に向かって物語が進んでいく訳で、どんなに無駄話してても、いつどこから悲劇が降ってくるか分からない。
同時に、これまで有名な被害者としてばかり語り継がれてきたシャロン・テートのに光を当てて、彼女に開けてた未来や残した功績に改めて命を吹き込んでる。ただの被害者じゃなくて、美しく・優れた駆け出しの女優で、新しい命を宿した公私ともに輝かしい女性として再生してみせた。
だからこそタランティーノは彼女の未来を理不尽な暴力で奪った相手を、情け容赦ない暴力で懲らしめて見える。「シャロン・テートに指一本触れさすか、バカ!」て言い放ってるよう。プリオ様の火炎シーンは思わず爆笑しちゃった! 残酷なシーンだけど心で「よっしゃーー!!」

クライマックスだけは、ブラピとプリオが現代からタイムスリップしてきて、トチ狂った若者に鉄槌下してるみたいで大好き。



ディカプリオを少し間の抜けたオッサンに再定義してみせたのがまず勝因。プリオ本人もコミカルな主人公をノビノビ楽しんで演じてるのが分かるし、スター俳優の孤独や焦燥にリアリティがあって素晴らしかった。
リック・ダルトンはスティーブ・マックイーンやクリント・イーストウッドになり損ねた人って感じで、やる事なす事悪い選択ばかりだけど、ちゃんと才能溢れる役者さんの部分も残ってる。

ブラピはいつも以上に寡黙で思慮深い・表情から内面が伺いにくいキャラクター。クリスなりの処世術だと思うけど、いつもニコニコと他人の要求に答えて見せる。反面、溜まった欲求不満を持て余してて、先行き暗い人生に絶望してるようでもある。



珍しくパンフレットまで買っちゃった。充実の内容で、映画のパンフてより薄めのムック、850円は高くない。

85本目
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