このレビューはネタバレを含みます
この作品の凄いなという点は自分は3つ挙げたい。
まずディカプリオが「役者」を演じるという点である。役者本人の演技もあり、役者として他の役を演じるという二重の演技もあり、彼の演技力が垣間見れた。次に細部にまで渡るフェテシズムのレベルまでのこだわりである。特に物語で言及される訳でもないのだが、徹底的なこだわりがこの作品の醍醐味である。例えば夜になり、ハリウッドにある店々のネオンの光出す音であったり、子役の女の子が実は二人(おそらく双子)だったりと何度も何度も観直さないと気付けない点が多い。そして1969年のハリウッドという「事実」にリックらの「虚構」を如何にねじ込むかという点である。リックとクリフは架空の人物だが、その埋め込み方がとても良かった(『大脱走』のシーンはとても笑った)。最後のシャロンテート殺害事件を事実を捻じ曲げての逆襲は、タランティーノにしか描けないし、彼なりの意思表示なのかもしれない。