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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのBGのレビュー・感想・評価

3.9
おもろかった‼︎ 実にタラオらしい作品だ。
ただ、これだけは言いたい。こんな長い必要があるんか、と。マジか、と。

タランティーノ作品を全部観てないのに「らしい」 なんて痴がましいかも知れないが、俺が思うタランティーノらしさが詰まりに詰まった作品だった。それは過剰なバイオレンスなんかじゃないだよね。

では、俺が思うタランティーノらしさとは何か。"俺が思う"だから、反論とかやめてね。泣いちゃうから。

で、さっそくの1つ目なんだけど、ストーリーではなくキャラクターで作品を語る点だ。落ち目のスター「リック・ダルトン」、うだつの上がらないスタントマン「クリフ・ブース」 、幸福感を振り撒く女優「シャロン・テート」。
主要人物を中心に、ステレオタイプではない魅力的な人物たちの境遇と心情をバカ丁寧に描いていく。
普通、映画にはテーマがあり、プロットがあり、ストーリーがあり、シークエンスがあり、シーンがあり、カットがある。タラオはこの中のストーリー、場合によってはシークエンスをもぶっ飛ばす。並の監督がこれをやると意味不明になり、結果、つまらなくなる。観客の興味が持続しないのだ。
タラ吉の場合、これを色気のある画とキャラの魅力、そしてその関係性において、充分に惹きつけ続けるのである。こんなもん、他の監督は嫉妬せざるを得ないし、役者はみんな出たがるに決まっている。恐るべし。

2つ目は、リアリティと寓話性の両立した世界感による普遍性の獲得だ。つまり、どこかでありそーで、実際はなさそーな物語によって、いつの時代にも通じる作品を創り上げている。
これは同時代に脚光を浴びた監督達の多くに共通する特徴でもある。コーエン兄弟、ティム・バートン、スティーブン・ソダーバーグ、ウェス・アンダーソン。
この中においても、タラ蔵はコーエン兄弟と並んで圧倒的に上手い。バランスがグンバツ。とにかく細部まで作り込む手法は、映画オタク世代の代表と言われるのも納得な訳である。

最後は、2つ目とも関係するのだが、作品テーマである。タラの共通するテーマとして、「人生、いつ何が起きるか分からない。だから、今を生きよう。」というようなメッセージだ。作品によって濃淡はあるものの、これは初監督作品「レザボアドッグス」から脈々と息づくものだと思うのだ。そこには生き様であったり、死に様だったりが描かれる。これがまた、憎らしいほどに格好良かったり、切なかったり、可笑しかったりするもんだから堪らない。だから、その結果としての、過剰なバイオレンスであり、決して目的ではないのだ。

そして、本作も3つの「らしさ」がしっかりと詰まっていた。詰まりに詰まっていた。だから、面白いに決まっている。面白くないシーンなんて、1つたりともないんだから!
だけどね、タラちゃん。詰めすぎやろ、君。楽しくなっちゃったんだよな?分かるよ、分かる。だけどさ、お金取って客に見せるんだからさ、観客のことを忘れないで欲しいんだよね!
でもまあ、悔しいけどムカつくくらい面白かったよ!
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