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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのruublueのレビュー・感想・評価

3.5
ワンス アポン ア タイム イン ハリウッド
視聴 2019年10月2日

「二人のハリウッドスターが送る日々と、実際に1960年に起こった 女優シャロンテート殺害事件の両輪で綴られる映画」
この二つの車軸はどこかで交わる事はなく、一定の距離感を持って平行して進んで行く。二つの軸はどこで交差するのかと思いながら観ていた。


舞台となるのは60年代アメリカ。ディカプリオは人気絶頂期を過ぎた俳優リック・ダルトン役。ブラピは専属スタントマンのクリフ役。二人はどこに行くにもアメ車で移動。二人は恐らくバディなのだろうけれど、友情ストーリーという程でも無く、彼らが何か能動的に引き起こす事態もなく、消化して行く何年かが綴られる。主人公でありながら劇中でどこか傍観者のように感じる。私なりの解釈で間違ってるかも知れませんが (そう感じた理由を後述でジワっと)


この映画、表面的にはレオ様とブラピに1960年代若者ファッションを充てる楽しみが。レオ様の革ジャン姿とブラピのアロハや上下白のジーンズ姿。下手すると滑りそうなコーディネートもハリウッドセレブが着こなすとカッコいい。いわゆるアメ車も二人なら普通に乗りこなして浮遊感ある街のクルーズはまるで彼らとドライブするような体感が楽しく観る側には嬉しい仕掛け。

時代考証も気になる所。未だ整備途上と見える当時アメリカの勾配激しい道路、マナー的には当時若者の普通?なのだろうか、退廃的な様子が描かれる。道にツバを吐く、道路は灰皿代わり。気に入らない出来の等身大ポスターがあれば蹴り倒す。建国200年のアメリカ国民が未だ未熟で粗野だったと思しき時代性を表現した部分になるのだろうか。何が言いたいのか、何が受け取れるのか。



(調べてみました)

「シャロン テート殺害事件」
1969年8月9日 、ロマン・ポランスキー監督の26歳の妻シャロン・テートが人違いによりヒッピーの一部犯行者によって殺害された。当時日本の紙媒体のメディアでも報じられるほどだった。ポランスキーの憔悴は酷く医師の治療を受けている。
また、ポランスキーはポーランド人で両親はナチスに捕らえられ子供だったポランスキーも追手を逃れ住居を転々とした事をウィキペディアは伝える。

「死ね、ナチス野郎!」主人公ダルトンが壇上からナチス会議を焼き尽くすシーンが有る。劇中劇なのかサラッと描かれるがこの映画の着想上、大きな動機になっているように見えた。ラストの犯人を始末するのも同じ火炎放射器が使われる。


この映画に込められたメッセージ。それはポランスキー監督への一大ラブコールなのではないかと感じた。2019年時点でポランスキー氏86歳、タランティーノ56歳、親子ほど年齢差のある二人、ウィキペディアで両者の接点を検索、2003年アメリカのテレビ番組ハワードスターンショーでポランスキーが1977年、13歳少女に暴行を働いたと言われる事件に関してタランティーノはポランスキーを擁護するコメントを出している。後年の2018年、その言及がネット上で批判の的となった後、タランティーノは謝罪を表明 している。(ウィキペディア クエンティン タランティーノ “論争”部分より)



今、飛ぶ鳥を落とす勢いのタランティーノ監督が生み出したメインキャラクター、リック・ダルトンを使って劇中での隣の住人であるポランスキーの名誉を回復し、妻の殺害事件で傷ついた監督の人生を同じ映画人として、友として暖める事が出来ると言いたかった映画ではないだろうかと。

当時見ない人は居ないまでに社会現象となった映画「ローズマリーの赤ちゃん」を生み出した60年代の映画監督に憧れ、育てられた事へのリスペクトを表現する壮大なメッセージ映画ではないかと思った。

時代が変わったからこそ当時の謎を白昼のもと引っ張り出せる。2018年に被った自身へのネット批判も今度は風上に立つ事で決済を付ける。1960年代から現代まで50年余りの時間軸でアメリカ社会をぐるりと眺めた上での壮大なラブコールですね。



どこまでが映画かどこまでが人生か。何の為に立ち上がるのか。タランティーノ監督の本気を観ました。映画は作り手と見る側のタッグマッチ、長文にて失礼しますが自分なりの目線と感想としてレビューしたいと思いました。



PS. タランティーノ監督と言えば暴力描写のイメージが有り苦手だったのですが、この映画で深いものを見させて貰ったと思います。これまでゴメン、タラちゃん😣💦


(アップ後の追記)
レオ様のタイタニックの頃からファンである私はこの映画は映画館で観る事にしていました。そして出来るだけ事前情報を持たずに、軽くシャロンテート事件に目通しして参戦した程度でした。

映画を観る前とレビューをアップする迄は他のレビュワーさんの書かれたものを読み込みたい欲求を必死に抑え込みました。これはこれで切ない時期でした。😅😅