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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのmadokaaaのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

まず、本作をまだご覧になっていない方は「シャロンテート殺人事件」「チャールズ・マンソン」さらに彼が作ったヒッピー集団「マンソンファミリー」このへんの予備知識を入れた上で鑑賞することを強くオススメします。

たとえば、1960年代のアメリカの社会情勢やカウンターカルチャーなんかについても知っていれば、さらに楽しめるかもしれない。

このへんのキーワードを知っているか知らないかによって、本作の出来映えは大きく左右されます。

本作は、ディカプリオ演じる落ち目の映画スターと、ブラピ演じるそのスタントマンという2人の主人公を軸に、根底には真のテーマである別のメッセージがタランティーノの理想の元に表現されています。

タランティーノが抱く「古き良きハリウッド」を懐古しながら、痛ましい事件を彼なりに美化し昇華させるための映画と言えるでしょう。

俳優で言うと、さすがの2大スター。

ディカプリオ演じるリックの稚気溢れるキャラクターはすごくチャーミングだったし、起死回生で挑んだ悪役での殺気迫る演技には鳥肌が立った。

ブラピについては、どのシーンを切り取ってもハンサムとしか言いようがない。
車を運転しても、犬に餌をやっても、ヒッピーにナンパされても、とにかくひたすらクールでハンサム。
ディカプリオ信者の私でさえクラクラしてしまうほど。

シャロンテートを演じたマーゴットロビーも素晴らしい。
特に映画館で自分の出演作を鑑賞しながら、周りの観客の反応を見てにんまりするシーンには胸がぎゅっとなった。

あの事件に向けて刻一刻と進んでいく時計の針。
このへんの見せ方や緊張感の煽り方はさすが。

そして、最後の最後で爆発したタランティーノ節!!!

痛快で清々しくて破壊力があって、
超絶怒涛のクライマックス。
芸術的なバイオレンスに拍手!!!

最後、静けさを取り戻したシエロ・ドライブでテートがリックを自宅に招き入れるシーン。

本当のエンディングを知っているからこそ、その夢のシーンに目頭が熱くなった。

なぜならこれは事実ではなく、実際のシャロンテートはまだ見ぬ我が子の命乞いをしながら26歳の若さで殺されたから。

「ONCE UPON A TIME IN...HOLLYWOOD」
むかしむかし、ハリウッドで

そう、これはタランティーノ流のお伽話。

実際はそうならなかったかもしれませんが、映画の中でだけは救いを与えたいという無言のメッセージに胸が詰まりそうになった。

シャロンテートの叶わなかった夢、タランティーノの映画愛、コミカルで痛快なカタルシスの元、色んな感情でぐちゃぐちゃにしてくれたけど、

ひとつ言えることは、映画ってやっぱり最高だ。
madokaaa

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