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男と女、モントーク岬でのotomのレビュー・感想・評価

男と女、モントーク岬で(2017年製作の映画)
4.5
ニンフォマニアックの延長を行く程では無いにせよ、一般的にはとんでもなくクズ男を演じたスカルスガルドではある。
しかし、視点を変えると劇中の恩師ウォルター曰く『この絵は俺のだからどうしようと俺の自由』の台詞同様に一般論では通用しない場面が人生の中で多々あり、この映画のケースもそうかと思われる。
モラルも何も全てを投げ打っても取り戻したいものがあると云う男。そんな男が行き着く、あと少しで手が届くみたいな海辺到着のシーンの全然届きそうな気がしなくなる『ヴェニスに死す』とアダージェット感。
いくら"I Want You"してみたところで蓋を開けてみれば、完全にあとの祭状態で何もかもが後には戻る事が出来ない。
男も女もそれぞれが変わり、そして現在を所有している。
そんな中で届かぬ過去の幽霊こと、失意の女に突き付けられる「あなたの子供が生みたかった」一言を受けた際の表情に後悔の全てが集中する。
その後、元鞘に戻るこの男をクズとは言うなかれ。
人間は完全無欠じゃなく、弱さもあるし猪突猛進的な情熱もあると。
これはもう人生に後悔したくなくなったoverアラフォーくらいじゃないと全然グッと来ない映画かと思われるも、人生の分岐点にまつわるとても悲しいお話で非常に良かった。
そんな切なさの中でクロスビー、スティルス、ナッシュなニャンコ達にほっこりするも、ヤングがいなくて余計に悲しくなる。良作。