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ヒトラーを欺いた黄色い星のhi1oakiのレビュー・感想・評価

ヒトラーを欺いた黄色い星(2017年製作の映画)
4.0
ユダヤ人の迫害・虐殺を描いた芸術作品は、近年の映画だと『サウルの息子』の圧倒的な閉塞感の描き方や、コミックだとアート・スピーゲルマンの『マウス』の動物を擬人化してコミカルにしつつも、辛辣にそして話を美化し過ぎない描き方…等、当然歴史の暴力性を伝えながらもエンターテイメントとして素晴らしい説得力を持った作品も多い。
今作は所謂ホロコーストを題材にしつつも、強制収容所を描くのではなく、迫害を生き延びた当時の数人の若者達を描くと同時に、加害者として一括りにされがちなドイツ人の中にも多大な危険を顧みつつも人の命を救う人もいたという、少し考えれば当然のこととしてわかるであろう事(でもあまりそこには焦点が当たらない)を描いている。
劇映画とインタビューと記録映像がコラージュされていて、最初は繰り返される台詞や誰が話しているのか等に戸惑いはするものの、その手法が逆に語られている事の真実性を増幅している事に気づかされる。
語っている老人たちの若かりし頃の、到底自分などは味わった事のないであろう“緊張感や息が詰まる生活”と“その中にあっても笑いや達成感のある瞬間”が再現VTR以上のクオリティで、確かにあった事なのだと感じさせてくれる。
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