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エンジェル、見えない恋人のペジオのレビュー・感想・評価

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)
4.6
映画を見たのではなく、映画に見られた気がする

「ピュアなラブストーリー」を謳っていたので結構油断して観始めたのですが、オープニングから何だか不穏な雰囲気…
観終わってコレは『シェイプ・オブ・ウォーター』の様な「怪物との恋」を描いた映画だったのだなと気づく(よくよく考えれば「透明人間」も「半魚人」並みにクラシックな「モンスター」だった。)
見えない存在が少女に近寄っていく…ところどころで垣間見える「ホラー」の雰囲気が良い緊張感を生んでいて、この奇妙な恋愛劇との相性も良い(主人公が特異な設定故になんでも無い一挙手一投足が細かく描写されるところもホラーっぽい。)

ほとんどが主人公である「透明人間の視点」で語られるのが興味深い
「見えない存在」である彼は謂わば、映画に没入して登場人物達に興味を持ちつつも、決して登場人物からは認識されるはずの無い僕たち「観客」と同じ立ち位置
そんな彼を母や少女は「見つめ返してくれる」(この辺の極端な接写が子供らしい純粋さでもあり、ちょっと怖くもある。)
「認識してくれる」というこの「幸福」を…観客と主人公は共有する

透明人間といえば…という事でヴァーホーベン的な見せ場もしっかりあるので男子諸兄はご安心を
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