Osamu

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!のOsamuのレビュー・感想・評価

4.0
ソ連が崩壊、頼れる兄貴を失ったキューバでは物資が不足し社会は混乱。大学教授セルジオは、ソ連に留学して学んだマルクス主義哲学の価値が急落している現実に戸惑う。そんな時、趣味のアマチュア無線でソ連の宇宙ステーションの宇宙飛行士と偶然交信、宇宙開発の予算が減らされて彼が地球に戻れなくなっていることを知り、助けようとする話。

『オデッセイ』のような「宇宙からの帰還大作戦」を期待して観ると、おもしろくない。困難を切り抜ける知恵と勇気みたいなものにはフォーカスが当たらないし、宇宙空間でのアクロバットも無い。だけど、生きる哲学あるいは仕事の哲学の話として観るとおもしろさがある。

ソ連に留学した(たぶん国費だよね)キューバの大学教授も、国の威信をかけた宇宙開発に携わるソ連の宇宙飛行士もきっとエリート中のエリート。でも、ソ連崩壊により忘れられてしまう存在に変わる。

自分の仕事の価値って何だろう。その価値を測る基準は何なのか。観た後、そんなことを考えた。そういう思索を促す作品だと思う。

小役人のファンタジックなシーンが意味するものは分かりにくいんだけど、囚われた価値観からの解放を示唆する表現なんじゃないかな。
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