ベルサイユ製麺

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.6
これ。邦題よ。
…原題のままの部分は良いんですけど、後ろの『…宇宙からハロー!』はなんなのよ。勝手に。
例えば『インデペンデンスデイ 宇宙からハロー!』とか『2001年宇宙からハロー!の旅』『未知とのハロー!』なんてつけないでしょ?テイスト勝手に変えてんなよ!
…と言いたくなるくらい、実際は侘しい、枯れた味わいの作品でございやす。

1991年、キューバ。東西冷戦の終わり頃。
セルジオはモスクワ大でマルクス主義を学び、今は大学教授の傍ら日夜アマチュア無線で同志と連携をとっております。…まあ、趣味です。
ある日、たまたま傍受した無線は、宇宙からのメッセージだった!
🚀
セルゲイ・イン・ザ・スペース。ソビエト連邦から宇宙に向けて飛び立ち、宇宙ステーション・ミールに滞在しているうちに、ソ連はロシアになっちゃった。帰る国が違う国になってしまったのはまだしも、今はバタバタで予算が無くて、…当面迎えに行けないとは⁈どゆこと?


宇宙からのセルゲイの無線をたまたま傍受しちゃったセルジオ。二人は意気投合、親睦を深めるうちにセルゲイが危機的状況にあると知ったセルゲイは彼をなんとか助けようと考えるわけですな。
因みに実話がベースになっているそうですが、ちょっと調べた感じだとホントに着想のきっかけ程度に過ぎなさそうです。

…ま、とにかく渋い。そもそもセルジオもセルゲイもルックスから激渋。そしてストーリー展開も渋いっす。セルジオは、既に形骸化して祖国では異端扱いされている思想を信じ、しかし仲間からは裏切りを疑われている。セルゲイは、祖国を信じて命がけで挑んだミッションの最中にいきなり宇宙に置いてけぼり。「ちょっとステイ」ときたもんだ!
🧠⇨同じく苦境に身を置く2人が、お互いの中に自分の本当の心を見出し、やがて求め合うようになるには時間はかからなかった…。逢いたい、でも逢えない。…トン・ツー・トン・トン・ツー… ”ア・イ・シ・テ・ル…”⇨🧠

で、苦境に負けず、愚直に信念を持ってすべき事に打ち込む二人を繋いでくれたのが、無線だった訳ですな。『ゼログラヴィティ』でも描かれてましたが、状況によっては無線って宇宙まで届いちゃうのですな!(←ここで挟もうとした例えは、ギリギリ自主規制できました!)予期せぬ場所の予期せぬ人と話せちゃうなんて無線ちょっと気になる〜。繋がりたい〜。
因みに、アメリカの無線仲間のピーター役にロン・パールマン!彼とセルジオのストーリーも良い感じです。
なかなかにアクロバティックで熱い展開を迎えますし、意味的にも希望が持てる良い着地を見せるのですが、この作品の欠点、では無くて特性として絵面が落ち着き過ぎていると言うことはあるかもしれません。とても宇宙をテーマにした作品とは思えない地味なルックは、例えばロシア映画『サリュート7』とかに比べてもカタルシスを得にくいかと思います。むむむ。

広報、この売りにくそうな作品に『…宇宙でハロー』とか付けてしまう気持ち分からんでは無いけど、…やっぱり“看板に偽り有り”って事になっちゃうので『セルジオとセルゲイ ・・・・ ・ ・-・・ ・-・・ ---』くらいにしておけば良かったのではないかしら?
あと、一瞬ネコ出ます。ネコネコメーター🐈0.1です!