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魔法にかけられて2のmaverickのレビュー・感想・評価

魔法にかけられて2(2022年製作の映画)
4.6
2007年に公開されたディズニーのオリジナル実写映画の続編。2022年11月18日にディズニー+にて配信開始。監督は『glee/グリー』『ヘアスプレー』のアダム・シャンクマン。音楽は前作同様、『美女と野獣』や『アラジン』などで数多くのディズニー作品の曲を手掛けたアラン・メンケン。


あの『魔法にかけられて』が帰ってきた。前作のファンだった自分からすれば、奇跡のことのように嬉しい。ジゼルを演じた主演のエイミー・アダムスは今やアカデミー賞ノミネートの常連。その点からも続編化はありえないと思っていた。この企画が実現されたことに感謝。前作の主要キャストであるパトリック・デンプシーとジェームズ・マースデン、イディナ・メンゼルも続投。さらにディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンも引き続きの参加と、これ以上ない完璧な状態での続編だ。

エイミー・アダムスは変わらず美しく、ジゼルそのものだった。さすがにあの頃とそっくりそのままとはいかず、相応の変化はある。だが彼女の表情や仕草、発する言葉にはジゼルがそのまま表れている。極めつけは歌と踊り。美しくチャーミングなそれは完璧にジゼルである。あのジゼルがそこにいる。感動で思わず目頭が熱くなった。容姿の若干の変化も年月の経過を感じさせて良い。あのジゼルもお母さんになったんだなと何だか感慨深かった。

おとぎの国とは違う、現代都市での子育ての大変さを物語る話。あのジゼルも思春期の子供の変化には戸惑いを隠せない。上の娘のモーガンは連れ子であり、その難しい問題も描かれる。ディズニープリンセスが現実の問題に直面するというのは本作ならではの面白さだ。コミカルでいてハートフル。親子の愛の形に最後は感動する。変化球のように見えて実はストレート。安心のディズニー作品でほっこりする。

前作でモーガンを演じた子役のレイチェル・コヴィーは役者業から退いているため、本作では代わりに新人のガブリエラ・バルダッチノを起用している。最初は見せ場もなくあまりぱっとしないのだが、印象が大きく変化するのは中盤以降。ジゼルが魔法を使って町をおとぎの国状態にしてしまうと、生意気な現代娘だったモーガンが急にプリンセス化する。表情も生き生きとして、歌と踊りも実に華麗で一気に見違える。なぜ彼女を起用したのか、その理由も納得である。

パトリック・デンプシー、ジェームズ・マースデン、イディナ・メンゼルの3人も驚くほどに変わらない。特にジェームズ・マースデン演じるエドワード王子は見た目も中身もそのまんま。感動と同時に、愛らしくちょっと間抜けなキャラで大いに笑わせる。おとぎの国ではかっこいい普通の王子なのに、現実世界では何であんなにお馬鹿なんだろう(笑)。お馬鹿で愛らしいといえば、リスのビップもしっかり登場する。変わらず本シリーズのマスコットキャラでほんわかする。まさかの変化にも大笑いだ。

歌と踊りの感動も前作そのまま。自虐的なミュージカル描写は笑いどころであると同時に、これで一気にディズニーの世界観に引き込む。ディズニーの世界観ってほんと独特。安らぎと温かさに満ちていて、幸せな気持ちに浸らせる。ジゼルが大勢の人々と一緒に歌い踊るシーンは、ディズニーパレードを見ている気持ちになった。まさにディズニーな空気感に満ちたアラン・メンケンの曲に感動する。さらにはイディナ・メンゼルの歌である。イディナといえば『アナと雪の女王』シリーズのエルサで有名。本作でも「レット・イット・ゴー」ばりの圧巻の歌声を披露する。ディズニーファンには嬉しい要素が盛沢山である。


世界観がそのままで、あのまま時が経過した物語であったのが一番の感動だった。完成度が高くて満足。『魔法にかけられて』ファンにはもちろん、ディズニーファンにも必見の出来。小ネタの数々に嬉しくなる。ディズニー好きに愛を込めた作品。前作同様、本作も最高だった。
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