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刑事ベラミーのtのレビュー・感想・評価

刑事ベラミー(2009年製作の映画)
4.5
口笛が聞こえる中墓地をなめるカメラが落下した車と焼死体に至り、ある邸宅にジャンプすると謎の男の訪問とクロスワードを通してドパルデューを現在取り巻く背景を分からせる、冒頭からあまりにも流麗な語り口。対極だが分身でもある弟と、女に狂い保険金殺人を試みた男を通して、妻が他の男と寝ているかもしれないというシャブロル的原不安や、拭えない過去へのトラウマが一見洗練された物語にどす黒く通底している。ミステリーの細部が半ば放棄され「不完全さの醍醐味」が体現されつつその余白は人間への細かな演出で敷き詰められる。下着を身につけるか否か、マンホールに落ちるか否か、犬を室内に入れるか否か。冒頭へ立ち戻るような車のショットが海に飛翔していくとともに、映画は特殊から普遍へ開かれていく。まだシャブロル作は4分の1くらいしか観れていないが遺作に相応しい堂々たる傑作では。