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焼肉ドラゴンのKUBOのレビュー・感想・評価

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)
3.8
もっと泣かすやつかな?と思ってたけど、笑い多めな割にしんみりとした味わいだった。

5月12本目の試写会は「焼肉ドラゴン」。

戦後、関西のあばら家に肩寄せ合って生きる「在日」コリアンの一家。彼らが営む焼肉店が「焼肉ドラゴン」。その家族を演じるのが、大泉洋、真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、キム・サンホら豪華キャストの面々。

激しい差別を描いた作品には「パッチギ!」などがあるが、本作はあくまでも家族にフォーカスした物語。肝っ玉母さん「オモニ」を先頭に、三姉妹それぞれの恋愛と一家を巡る騒動を描いて、笑いと涙を誘う。

描かれるのは昭和45年。日本中が「大阪万博」に浮かれていた時代。作品中にも「太陽の塔」のお土産用フィギュアが出てきたり、水前寺清子の「365歩のマーチ」が歌われたり、当時を知る者には懐かしい。(小川ローザの「おお、モーレツ!」というキーワードで大笑いしてしまった)

「在日」とはいったい何だろう? 一家のお父さん(キム・サンホ)は当時日本であった韓国から日本兵として太平洋戦争に従軍し片腕を失う。やっとのことで韓国に帰った途端に朝鮮戦争が勃発し、命からがら日本へ逃げたが、その際に全財産を失ってしまう。

劇中で「俺たちには、もう帰るところがないんだ。韓国語もろくに喋れない。もうここで生きていくしかないんだ」という台詞が出てくる。ユダヤ人ではないが、帰る場所のない人々の苦悩は、基本島国の中に何千年も暮らせている我々日本人には真の意味ではわからないのかもしれないが、少しでも心を寄せなければならない事柄だろう。

とは言っても、本作のキモはそんな苦悩を抱えながらも、たくましく生きている家族の物語。「なんで最初から告白しないの?」とか、いろいろ突っ込みたくなるところはあるけれど、その本音でぶつかり合う様は、決して器用ではないけれど、愛すべき家族の姿だ。

戦後を生き抜いた韓国映画では「国際市場で逢いましょう」という名作があるが、本作も「在日」コリアンの一家を通して描かれた笑いと涙の感動の物語。これ、韓国で封切りしたら、どんな反響を呼ぶんだろうか?

重そうなことばかり書いたけど、実はかなり笑えます(^^)。