順慶

焼肉ドラゴンの順慶のレビュー・感想・評価

焼肉ドラゴン(2018年製作の映画)
3.8
いつもは大阪で映画を観るが、東京出張があると時間をとって、東京の映画館に行きたくなる。
で、渋谷アップリンクで、気になっていた「焼肉ドラゴン」を鑑賞。東京に来て、大阪の映画を観るとは、なんか変な気分だった。

映画は、末っ子の時生のナレーションから始まる。屋根の上から町を見下ろし、空港に向かう飛行機を見上げ、「僕はこの町が嫌いです〜」。それから3人の姉と両親とちょっと複雑な家族関係を観客に紹介する。
しかし時生は、叫ぶことはできても、話すことはできなかった。韓国人であることでイジメられ、心を閉ざしている。

その家族が営む焼肉店を中心に、その時代の在日問題を描いている。が、あくまでも家族の物語として、大上段に立っていないのが好感をもてた。
そういう時代をまじめに生きてきた父の龍吉。「働いて、働いて、働いて」と朴訥な日本語で語る龍吉のセリフは、グッとくる。

非常にいい話なんだけど、泣けなかったのはなぜだろう。まわりは鼻をすする音も聞こえた。誰にも感情移入できなかったからかもしれない。
順慶

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