「ロッキー」シリーズの正当な続編「クリード」シリーズの二作目。今回は『ロッキー4』(1985年)で対戦相手だったイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)の息子ヴィクター・ドラゴ(フロリアン・ムンテアヌ)が挑戦者。
「クリード」シリーズの一貫したテーマは「強さとは」だと思います。そしてその強さは「自分の弱さを包み込む強さ」だと受け取っています。因縁の息子同士の対決。敵討ではない。では、なんのために戦うのか?
今回も一回逆境に立たされてから、それを乗り越えて……という「ロッキー」シリーズ王道のテンプレ展開。「乗り越えて」の部分が非常に大事なのですが、なぜ乗り越えられたのかがよく分かりませんでした。誰のためでもない、自分のために戦う。そこは分かるのですが、なんでヴィクターと戦うことが自分のためになるのか?ヴィクターは単なる強い対戦相手でしかないんですよ。
『ロッキー4』はヒットしたものの、映画作品としては「ロッキー」シリーズの中でもあまり評価が高くない。それはロッキーvsイワンがあまりにもテンプレすぎて、あまりキャラクターとして深掘りされなかったからだと思います。本作もあまりドラゴ側は深掘りされず。『ロッキー4』の映画作品としての欠陥も本作に引き継がれてしまった形。
もうちょっとアドニスとヴィクターのそれぞれの想いが深掘りされて対比されたらよかったのに。そうすれば次作『クリード/過去の逆襲』にももっとスムースに繋がったのに。