【拳で語る物語】
待望のクリードの続編は、まさに『ロッキー4/炎の友情』と対をなす物語でした。
ロッキーとアドニス
ドラゴとヴィクター
アポロで結び付いた因縁の対決
それぞれの男たちの思念と葛藤
闘うしかない男たちの悲痛な眼差しを見ているだけで、辛すぎて泣けてしまうのです😭
痛い思いをしながら、なぜ男たちは闘い続けるのか?
貧困から抜け出すため
名声を手に入れるため
自分の強さを誇るため
何といっても、本作は更に「復讐」が暗い影を落とします。
「復讐」を誓うドラゴ父子の登場で、ロッキーやアドニスは癒せていない心の傷を思い出し、「向き合うべきこと」がまだ残っていることに気付きます。
〈失ったものを取り戻す〉
向き合うべきこと…ロッキーにとっては、家族や友にしてしまった後悔と償い、アドニスにとっては、父親への寂しさと怒り、ドラゴ父子にとっては、全てを剥奪され国を追われた屈辱と憎悪(あくまで僕の主観です)…を抱えた男たちは、願いも後悔も葛藤も怒りも全ての感情をボクシングに託し、失ったものを必死に取り戻そうとします。
これは男たちの取り戻すための闘いであり、背負った呪縛から解放されるための闘いでもあります。
その物語に涙してしまいます😭
〈2人の名優〉
スタローンやラングレンという、伝説のキャラクターを演じてきた俳優たちから自然と醸し出される悲壮感。
肉体派アクション俳優で活躍した2人は今までは決して演技派ではなかったのに(むしろ下手だった)、皺だらけの表情、悲痛な眼差し、噛み締めるように話す口調、長年のボクシング人生で痛めた体…壮絶な人生を生き抜いたけど、孤独と絶望でボロボロになりながら、闘志はまだ消えてない男たちを凄い説得力で演じていました😭
前作のスタローンの演技も絶品でしたが、本作はラングレンが特に素晴らしかったです😊‼️
直前に『ロッキー4』を観ていたので、ラングレンの愛称「人間核弾頭」が言い得て妙な鋼のサイボーグマシーン男が、今ではこれほど皺皺の初老の男になっていることに驚きました(「エクスペンダブルズ」シリーズも観てないし)。
ドラゴの苦しさ、悔しさ、恨み、怒り…負のエネルギーの塊のような感情が、ロッキーと「エイドリアンズ」で対峙する場面で爆発していました。マジ、目だけで殺されるかと思うほどの迫力😰
国の英雄から転落し、全てを失い、復讐のためだけに生きる男の悲しさを、これほど深く強く表現できる俳優さんになったんですね!
そんな復讐の鬼と化したドラゴが、ラストのリングで、ヴィクターに示した"ある行動"に涙が止まりませんでした😭
僕は最後の最後には、このドラゴ父子が憐れで憎めませんでしたよ!
〈最後に◯◯は勝つ!〉
改めて、何のために闘うのか?
それは、リング上でセコンドから掛けられる言葉で理解できます。
アドニスは自分の家族のために闘い、ヴィクターは父の名誉のために闘います。
そこに大きな違いがありました。
リング上でアドニスとヴィクターが目で探した先には…
ロッキーシリーズを観ている方は、最後に勝つのは…何だか知ってますよね😉♪
拳でしか語れなかった男たちの悲哀。
最後に気付くドラゴとヴィクターの想いに大泣きでした😭
〈ちょっと残念だった気が〉
ドラゴ父子の物語は凄く切なくて(ブリジット・ニールセン出て来て、ラングレンより怖かったw)、本作はそこが白眉だったと思います😉‼️
ラングレンとスタローン(今回は出番は少ないけど)が体現する、闘い続けた男たちの大いなる栄光と損失、痛みと悲しみ、自分の力を証明し続けるプレッシャーと代償…様々なドラマが盛り込まれて、謂わば旧世代の過酷な拳の物語に凄く涙しちゃったんです😭
その一方で残念だったのは、アドニスの情感の描き方でした。エピソードは盛りだくさんなのに、ヴィクターに挑む燃え盛る復讐の衝動も、闘いを選ぶ理由も強く響いてこなかったのです😢(また観て確かめたい!)
自分を見失っている状態から、不安や恐怖を認め、違う生き方も出来るのに闘いを選び、「自分の道はボクシングだ!」と確信する情感をもう少し上手く描いてほしかったです(僕が分かってないだけかもしれませんが)😢
単に物語がドラゴ父子に比重が大きくなったためもありそうですが、脚本や演出の問題だったのかもしれません(B・ジョーダンの演技は文句なしです)。
病院内のボロボロのアドニスの姿は痛々しすぎて涙が滲んだし(あの顔見たら、誰もがヨシヨシしたくなるよね)、リング上で何度も拳を叩き付けて、起き上がる姿には大泣きしました😭
そしてアドニスとロッキー2人一緒のトレーニングシーンが大好きだったので、それがないのも悲しかった😢
結局は終わってみれば、泣いている場面の方が多いのですが、気になってしまうところもあり、ちょっと不完全燃焼な気分だったんです。レビューを書いた今も評価に迷ってます😥
再度鑑賞したら、感想変わるかもしれませんね。