たつなみ

クリード 炎の宿敵のたつなみのネタバレレビュー・内容・結末

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

無名の新人監督(スティーブン・ケイブル・Jr.)という事で一抹の不安があったが、こんなに素晴らしい作品だったとは!
正直言ってヘンな作品だった『ロッキー4』の設定を上手く使い、心を震わす『熱い物語』になっている。

遂に世界チャンプとなり、ビアンカとも結婚して全てを手に入れたアドニス。
ロッキーに敗れ、全てを失った無念を息子ヴィクターに託すドラゴ。
ドラゴ戦でタオルを投げられず、アポロを見殺しにしてしまった罪の意識に苛まれるロッキー…。
男たちの想いは『信念』(=creed)に導かれ、それぞれの結末に向かって行く。

ヴィクターとの戦いを通じて、アドニスは父親として家族を守り抜く覚悟を決める。
『俺はクリードだ!』と叫ぶシーンでは彼の様々な気持ちが胸に迫ってきてまたしても泣いてしまった。

今作でも抜群の存在感を見せたロッキーも遂に息子との再会を果たす事が出来た。
もう彼は独りじゃない。
栄光に包まれたリングを外から見つめる彼の背中にまたまた号泣。

そして敗れた側のドラゴの救いも描かれていたのは本当に良かった。
ドラゴはヴィクターを復讐の道具としてしか見ていなかったが、何もかも失ったと思われた直後、ヴィクターの父親への愛情を知り、タオルを投げ込む。
最後の親子2人のロードワークはとても印象的だった。

全てを失いかけたアドニスがロッキーの力を借りて再び”野生“を取り戻す…というプロットは『ロッキー3』におけるロッキーとアポロの関係を思わせる。
こういう展開をさりげなく入れてくる辺り、この監督は「分かってるなぁ」と感じる。
本当はスコア的には満点を付けたい所なんだけど、どうしても気になった点が一つあったので0.5点マイナス。(コメント欄に書いときます)

それにしてもドルフ・ラングレンだけじゃなく、スタローンを裏切った元妻のB.ニールセンまで出てきたのは驚いた。
彼にとって自分に関わった人たちはみんな仲間ということなんだろう。
本当にスタローンの寛容さには頭が下がる。
まさしくロッキーの物語はスタローン本人の人生そのものなんだなぁ…。

ちなみにパンフレットは町山智浩さんの解説もあるので購入をオススメします!