ゆっけ

クリード 炎の宿敵のゆっけのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.5
これは、家族(ファミリー)映画だ。
単なるスポ根映画ではないです。

「ロッキー」シリーズのスピンオフ映画『クリード チャンプを継ぐ男』の続編であり、『ロッキー4 炎の友情』で描かれたドラコ戦から30余年を経た後の物語。

自分は「ロッキー 1」と『クリード チャンプを継ぐ男』しか観てないのですが、一応、『ロッキー4 炎の友情』も観てから本作を鑑賞しました。ただ、この映画から観ても楽しめると思います。
その場合は以下だけ知っておくといいと思います。

・クリードとは、ロッキーの最大のライバルにして親友のアポロの息子
・『クリード チャンプを継ぐ男』にて、ロッキーは、癌となり闘病生活を続け復活する
・クリードの恋人ビアンカは、ミュージシャンであるが、聴覚に障がいを持っていて、やがて耳が聞こえなくなる運命に
・クリードの父、アポロは、ロシアの王者イワン・ドラゴと対戦して壮絶なファイトを繰り広げた末に倒され、そのまま帰らぬ人となった
・ロッキーはドラゴと対戦し、見事勝利する
・今回の映画で対戦する相手はドラゴの息子、ヴィクター。つまりクリードにとって父親を殺された宿敵の息子との因縁の対決

前作が"障害"との己の戦いを描いていて傑作でしたのですが、今作では、さらに踏み込んで「なぜ人は戦うのか?」ということを真摯に描かれています。

クリードが”家族”を持つことで、一人で戦うということ以外のものを背負って生きるということ、そこの過程も素晴らしいのですが、ドラゴ側の"家族"にラスト、涙するとは思いもしませんでした。かなり切ない。

かつて、ロッキーに負けたことで居場所がなくなったドラゴ。何にすがり、何を思って、これまで生きていたのか?
敗者の視点からそれを描いたことこそが、この映画の素晴らしさだと思うのです!

復讐のために戦うという構図は、昨年のアニメの大傑作『ドラゴンボール超 ブロリー』とつながるものがあります。

本作は、バトルバトルする話にはなっていません。戦い続けた男たちの、生き様と葛藤、家族に対する想いがひしひしと伝わる、"熱い"映画なのです。

何でも、戦って勝つことが人生じゃないし、圧倒的な勝者を称えたいのではない。前に向かって走り続ける姿こそが、観ている私たちを感動させるのです。

単なる復讐映画でもないです。守るべきものがある人、失うものがない人。そんな簡単なことじゃない。
スポ根映画は興味ないなと思う人ほど、家族を持つ方ほど、観て欲しい傑作です。
ゆっけ

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