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クリード 炎の宿敵のyumeayuのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.5
そして、父になる

偉大な父を持つアドニスが、自分が何者であるかを証明したのが前作だとすれば、何のために、誰のために戦うのかを模索したのが今作。

やはり避けては通れない道なのか…。
アドニスがアポロの息子であり、セコンドにロッキーが付いている以上、遅かれ早かれ訪れたであろうドラコ親子との戦い。挫折、苦悩、再起というシンプルな物語で結末もおおよそ予想通りの展開ではあったものの、それ故に熱く、ストレートに胸に響くものがありました。

ストーリーもアドニスとロッキーの師弟関係や、アドニスと家族の物語を中心に置きつつ、少ないながらもドラコ親子にも丁寧なドラマがあったのはよかった。
自分の復讐のために息子を利用していた血も涙もないイワンが最後の最後で息子を思う父親になれたのは感動的だった。

このように今作はボクシング映画でありながら、父と子の物語でもありましたね。ロッキー、アドニス、イワン、三者三様の父親像が描かれていました。

男性は女性と違って子供が産まれたからってすぐに父親になれるもんじゃないんですよね。子供との時間を経て徐々に父親になっていくのだと思う。実際ロッキーなんて、ずっと父親になれずにいたわけだし…。
そして、守るものが増えれば増えるほど、強くもなれる一方で、それを失う怖さも同時に背負い込まなければならない。
しかし、どんなにズタボロになって、不甲斐ない姿を晒しても立ち上がらなくてはいけない!
大切なのは勝ち負けではなく、リングに上がり戦うこと!
自分もまだまだ半人前の父親だけど、アドニスの姿を見て、同じ父親としてすごく考えさせられるものがありました。
アドニスが泣く我が子に四苦八苦する姿は"父親あるある"でしたね(笑)。なんか子供が産まれた頃を思い出して、懐かしい気持ちになりました。

それにしても久しぶりに見たドルフ・ラングレンが素晴らしかったですね。渋くてカッコよかった!
パンフレットに掲載されていた町山智浩さんの解説によると、ドルフ・ラングレンの波乱万丈の実生活が反映されているのだとか。なるほど!確かに演技の説得力がちがいましたね!

気になるのは今後の展開。アドニス(ロッキー)対ドラコ親子という、とっておきの設定を今作で使ってしまった以上、それを越える物語をどう展開していくのか?
あまり考えたくないけど、ロッキーとの別れを描いていくことになるのだろうか…。
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