「俺たち所詮、博打のコマやろが」
油断するとすぐに下降していく、それが人間というもの。体はたるむし、できてたことはやり方すら分からなくなる。そんなことを繰り返していると、しまいにはこの世界からドロップアウトしてしまう。厳しい世の中だ。厳しいけれど、下降しないために、落ちてしまわないためには、もがきつづけるしか方法はない。それがこの映画でいうところの「トラックをまわりつづける」ということや「車輪を回転させつづける」ということだ。そうしないとパチンコの玉のように落ちて消えていってしまうから。
落ちないために、回りつづける。それが「努力」であり、「もがく」ということ。自分が人生に行き詰まったとき、この映画の「もがけっ!!」という言葉とゲロにまみれたあいつの人生を思い出すんだろうな。
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『海よりもまだ深く』と続けて観るとすんごく沁みる映画。良多(阿部寛)が見ていた競輪の先にこんな人生があったとは。