緑雨

トゥルー・ロマンスの緑雨のレビュー・感想・評価

トゥルー・ロマンス(1993年製作の映画)
4.8
寒空の下、屋上のビルボードの前に座って二人が互いの気持ちを告白しあう場面が素晴らしい。シチュエーションもダイアログもBGMも情感に溢れてる。このシーンで生み出された「純情」が全編を貫く。だからこそ、こんなバイオレントな与太話にも説得力が生まれるのだ。

再見してみて、これはパトリシア・アークウェットの映画だと確信する。こんなにも女を直接的な暴力に晒す映画は他に観たことがないが、アークウェットのいじらしさには最初から最後まで感動する。そして、ジェームズ・ガンドルフィーニに半殺しにされながらしぶとく抵抗する姿に感動が生まれるのだ。やはり映画にとって最も大切なものは”情感”なのだと改めて思う。

デニス・ホッパー演じる父親の居所であるトレーラーハウスのロケーションが良い。スレーター&アークエットが訪れる場面での、人物とキャディラックの配置、その手前を列車が横切る構図が素晴らしく決まっている。
クライマックスの羽毛が舞う中での銃撃戦もかっこいい。
緑雨

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