特売小説

ギャングースの特売小説のレビュー・感想・評価

ギャングース(2018年製作の映画)
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調理する時間さえ作れないだとか、そもそも調理するものという頭がないだとかいった設定を仄めかしている場合もあるとは思うんですけれども。

安易に貧乏飯=カップ麺とするような手合いにはおそらく絶対に描けない場面を以て、運命共同体であり疑似家族、チームで友人グループである主人公の三人組に感情移入をさせるその流れがえぐい。

更に。

そうやって感情移入をさせてからの落とし方がまたえぐい。

権利や自由、喜びや希望を恐怖で以て理不尽に奪い取るものこそが暴力であり単に肉体的痛みを言うのではない、という理屈を様々な形で見せて呉れるもんだからその渦中に主人公が滑り落ちていく様子を見ている事がとてもきつくって辛い、即ちえぐい。

雅-miyavi-と金子ノブアキが静対静の構えでバッチバチにぶつかる場面の緊張感がえぐい。

振り込め詐欺を正当化する金子ノブアキのスピーチの説得力がえぐい。

虐待を受けている少女を三人組が保護するのかしないのか、という行、その展開をカメラワークの妙で以て絵面的に見せる演出の巧みさがえぐい。

その少女に妹の面影を見るキャラクターの過去がえぐい。

そりゃあ、多少のご都合主義や不自然な場面もあるにはあるけれども。

暴力で以て頭を押さえ付けられた自らの経験も作用して以て、こりゃえぐいまでの弩傑作で御座いました、と。
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