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ギャングースのryacのレビュー・感想・評価

ギャングース(2018年製作の映画)
4.7
大傑作!!!
悪党vs巨悪のピカレスク物の構図を用いつつ、「万引き家族」のように現代日本が抱える問題に真っ向から向き合った強烈な一作。

三人の主人公サイケ、カズキ、タケオの描き方もとても熱く生々しく。家族も知り合いもいなくてまともに学校にも行けなかった彼らは食事のシーンでも箸の持ち方がめちゃくちゃだったり、書く文字が平仮名ばっかりだったりする。そういう細かいディテールにまでこだわった演出もさることながら、パンフレットによると200キロの本物を使った冒頭の金庫を盗むシーンやクライマックスの長回しのアクションシーンなど、どの場面も実在感のある、切実な演技をまじまじと見せつけられるようだった。
世間のことを知らなすぎてカラオケを歌えないシーンとか超切ない。

半グレの親玉安達を演じたMIYAVIも凄い。そこまで強面って感じでもないのに半端なく怖い。既存の「悪人」のステレオタイプから外れた人物造形も魅力的で、現代を舞台にした裏社会物を作る上で必要不可欠だと思う。

問題だらけの中どうにか生き延びようとするカズキたちを象徴するかのような劇中歌、実在感のある光と影の使い方が響く画面構成。
そしてロケ地は入江監督の代表作サイタマノラッパーの舞台でもあった埼玉の深谷。そういう面からも、監督の集大成といってもいいんじゃないでしょうか。
都内のシネコンでも上映終了しつつあるのが信じられない。もっとかけて!
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