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わたしはわたし ~OL葉子の深夜残業~のmのレビュー・感想・評価

4.9
‪エロ恐怖症の気弱な女性編集者の中に夜の間だけ目覚めるもう一つの奔放な人格が出現して、知らぬ間に夜毎男を漁り始める。寝不足に悩まされる彼女はもう一人の『わたし』に対して、なんと交換日記で交流を図る。『わたし』と『わたし』の奇妙で微笑ましい関係が始まる。世界一ハートフルでチャーミングな二重人格ものが誕生、大傑作!!

これは本当に素晴らしい女性映画‬。夜の『わたし』が昼の『わたし』を叱咤激励して助ける関係性が実に魅力的で良い。
主人公と同僚の女性との安易に対立に陥らない友情もまた素晴らしくて、特に中盤の屋上で二人が爆笑し合うシーンが最高。この映画、女性達の関係性が本当に良い。


主人公を演じる市川まさみはあまり演技が巧くはないのだけど、彼女の不器用だけど一所懸命で、でも妙に呑気な演技と小悪魔的なルックスが、絶妙にこの主人公(達)に呑気なチャーミングさを付与していて良い。
同僚役を演じる美村伊吹の人間臭い安定感も抜群に良い。


日本映画界の隠れた鬼才・城定秀夫監督の手腕がいつもながらに見事で、演出・脚本・編集全てにおいて城定監督らしいユニークなセンスと優れた技術(いつもながらのジャンプカットの鮮やかさに人格入れ替わりの瞬間のバリエーション!)、ユーモラスで複雑な人間観と愛が迸っている。本当に名監督。
至る所でごく微かにカメラが揺れ続けている細かい撮影の工夫も良い。

鮮烈な幕切れに思わずスタンディングオベーションしたくなった。こういう女性映画が日本映画にもっと増えると良い。