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エセルとアーネスト ふたりの物語のminのレビュー・感想・評価

4.0
エセルとアーネストの出会いから死までを描く物語。2人の息子はのちにスノーマンを描くあの人だ。

平時ならば一番幸せ!な時代のはずが戦争と背中合わせの2人の人生。何が凄いって、超保守党の妻とズブの労働党の夫。平時だったら、もしくはちょっと先の時代だったら離婚不可避な様相…なのだが、2人の間には誠実な愛があるような気がした。
燃えるような愛じゃないけど、最初から種火だけど、それを雨嵐や風雪から地道に守って細々と繋ぐ的な。

スノーマンを生み出した作者が描く絵だけあって、とても素敵なんだけど、もう魂が肉体にない両親だけが、そこだけデッサン画風で時間も血も営みも何もかも全ての流れがなくなってしまっていることを感じさせる描写にハッとさせられた。作者にとっても、人生においてとても印象深かったのだと勝手に想像。

キッチン、テレビ、電話、車、色々なもので時代の変遷を感じられる構成は個人的に好きで、それをフランスやイギリスの欧米系の物語で見るとちょっと味わい深い。

それにしても、イギリスはやはり階級の国なのだとつくづく思った。
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