Kaz66

イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語のKaz66のレビュー・感想・評価

3.5
大仰なタイトル「イングランド・イズ・マイン ーモリッシー,はじまりの物語」であの“The Smith”の結成秘話みたいな所を期待すると大きな肩すかしをくらいます。(クイーンやエルトンの映画とは全然違います…)
ポスター・コピーに『たとえ世界に望まれなくても、僕は歌う。』とありますが、劇中のスティーブンは色んな人に勧められても中々歌いません。(笑)
あくまでスミス結成の“前日譚”。大学をドロップアウトし、ライブハウスに通って他のバンドの批評を音楽誌に投稿するだけの半端者。就職しても職場に馴染めずサボってばかり。それでも夢を捨てきれず、ひたすら悶々とする…“ただの”スティーブン・パトリック・モリッシーを描いた、ほとんど何も起こらない映画でした。
長編デビューとなるマーク・ギル監督はマンチェスター出身で、The Smith の音楽に衝撃を受け、とても影響されたそうです。が、華やかな成功物語を描くのでなく、『あのスミスのモリッシーも最初はただの鬱屈した青年で、特別な才能や環境/大きなサポートやグッドラックがなくても、(自分の夢を信じ続けることが出来れば)夢を叶える事ができる』というようなメッセージを伝えたかったのかなー⁈と感じました。
モリッシー役は「ダンケルク」のパイロット役で一気にブレイクしたジャック・ロウデン。
何者でもない“スティーブン”を見事に演じていました。
カッコいいモリッシーは微塵も見れませんが、自分の居場所を見つけられずもがいてる若者、そしてその頃はとっくに過ぎてしまったけどそんな感覚が懐かしく甘酸っぱく感じるオジサン、自分の靴を眺める事の多い音楽好き にはオススメです。
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