the smithsのボーカル、モリッシーがギターのジョニー・マーとバンドを結成するまでを描いた伝記映画。監督は同郷マンチェスター出身のマーク・ギル。
キャリアを重ねていく前の話なので派手さはなく、ひたすら鬱屈とした日々を送る青年モリッシーの苦悩に焦点が当てられているが、それこそがモリッシーという人間を象徴しており、後に彼がthe smithsで綴った内省的でありながら詩的な歌詞に繋がっているのが分かる。
例えば、「この世界は僕を受け入れない」「なら自分の世界を創るの」という会話は『Accept Yourself』に言及できるし、冴えない勤務中のシーンは『Heaven Knows I'm Miserable Now』の歌詞を体言している。
"何かする怖さから何もしない安心を選んだ"
スタジアムロックのバンドが大成功を収める話ではなく、社会不適合気味な青年がその一歩を踏み出すパーソナルな内容。内側に向かうクリエイティビティ。万人受けしないかもしれないが、ファンならぜひおすすめしたい作品。